スーパーコンピュータによる成果ーゴードン・ベル賞を受賞

スーパーコンピュータは日本で具体的な成果をあげ続けています。
その象徴的な例は、スーパーコンピュータの世界でもっとも権威があると言われるゴードン・ベル賞を日本の機関が、2011年2012年と2年続けて受賞したことでしょう。2011年は材料開発において、また2012年は宇宙の形成過程を明らかにした研究でした。実用に近い工学的開発にも、深遠な純粋科学研究にもスーパーコンピュータは大きく貢献したことになります。

※ゴードン・ベル賞
米国計算機学会(ACM) が、毎年ハードウェアとアプリケーションの開発において最高の成果をあげた論文に付与する賞。毎年11月に開催 される米国スーパーコンピュータ会議にて表彰式が行われる。このうち実行性能部門の最高性能賞は最も栄誉ある賞とされている。

2011年ゴートンベル賞 『京によるシリコン・ナノワイヤの第一原理計算』

概要

理研、筑波大、東大、富士通のチームによる『「京によるシリコン・ナノワイヤの第一原理計算』が、コンピュータシミュレーション分野で最高の賞であるゴードン・ベル賞の最高性能賞を受賞。日本人によるこの受賞は2004年以来7年ぶりの快挙。

研究内容

【背景】

○22nm以下の微細構造をもつ次世代半導体において、漏れ電流による消費電力の解決が課題。このため、シリコン・ナノワイヤが次世代半導体の材料として期待されているが、その実現には、ナノワイヤ内の原子・電子の解析が不可欠。

○しかし、このような微細材料での実験はできず、また、シミュレーションでは計算機の能力不足から、2,000原子程度(ごく一部分)までしか計算できなかった。

【京による成果】

○現実の材料サイズに近い10万原子規模のナノワイヤの電子状態の計算し、世界で初めてナノレベルの高精度シミュレーションを可能にした(3ペタフロップスでの計算)。
(→従来のシステムでは30年以上かかる計算が、「京」により1週間で実施可能に)

○また、約4万原子のナノワイヤの電子状態を断面の形状を変えて計算し、断面の形状による電子輸送特性の変化を初めて明らかにした。

【今後の展開】

○22nm以下の微細構造を持つ次世代半導体の製造方法の確立

○高速・高機能、省エネルギーなどの特長をもつ新しいデバイスの設計に貢献

2012年ゴードンベル賞『約2兆個のダークマター粒子の宇宙初期における重力進化の計算』

概要

筑波大、理研、東工大の研究グループによる『約2兆個のダークマター粒子の宇宙初期における重力進化の計算』が、コンピュータシミュレーション分野での最高の賞であるゴードン・ベル賞を受賞。日本のグループによるゴードン・ベル賞受賞は2年連続で、今回は筑波大グループの単独受賞。

研究内容

【背景】

○宇宙の形成過程を明らかにするには、ダークマターの重力進化の解明が不可欠。

○しかし、1兆個以上におよぶダークマター粒子のシミュレーションは計算機の能力が足らず、実施できなかった。
(現在は筑波大グループの他、米国・アルゴンヌ研グループも実施中)

【京による成果】

○世界最大規模である数兆個におよぶダークマター粒子の重力進化を、実用的な時間内にシミュレーションすることを可能とした(5.67ペタフロップスでの計算)。
(→パソコン1台で数百年かかる計算が、「京」により3日で実現)

○宇宙初期(約137億年前の宇宙誕生から約200万年後~約1億年後)のダークマターの密度分布を計算
(右図参照)

○筑波大グループのアプリケーションは、アルゴンヌ研グループの6倍程効率が良く、アプリケーション開発でも世界をリードしていることが示された。

【今後の展開】

○星や銀河の形成など、宇宙の構造形成過程に関する科学的成果の創出が期待される。

○より微細なダークマター構造を解明でき、ダークマター粒子の探査、正体解明に貢献。

図:宇宙初期のダークマター密度分布

明るさはダークマターの空間密度を表し、明るいところは密度が高い。 また、zは赤方偏移の量を表しており、数値が大きいほど過去を見ている(天文学では時間や距離の尺度として用いられる)。

【上段左】
宇宙誕生時はほぼ一様。z=400は宇宙誕生から約200万年後であり、1辺約5光年。

【上段中】
時間の経過につれて重力により集まり、大きな構造が形成される。

【下段】
下段右は、誕生から約1億年後の宇宙の姿(約136億年前、1辺約65光年)。
中心部を拡大したものが下段中、更に拡大したものが下段左。
(zは全て31)


文部科学省 今後のHPCI 計画推進の在り方について(中間報告)平成25 年6 月25 日 より

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