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一般社団法人 HPCIコンソーシアム
ユーザー視点のインフラ構築を目指して

「HPCIコンソーシアム第3代理事長・中島浩先生のご逝去に寄せて」

 去る2021年10月6日、HPCIコンソーシアム第3代理事長を勤められました、京都大学学術情報メディアセンター教授・中島浩先生が交通事故のため急逝されました。このニュースはHPCI関係者、そして日本及び世界の高性能計算研究者にとって信じられない出来事でした。
 改めて申し上げるまでもなく、中島浩先生は日本の計算機アーキテクチャ研究の第一人者であり、特にHPCIの立ち上げに大変なご尽力を頂いた、我々にとってかけがえのない研究者でした。HPCIの立ち上げ期には国内スーパーコンピュータのネットワーク化、運用体制、課題の選定方法等の多岐に渡る議論をリードされ、今日のHPCIの仕組みの構築に貢献されました。また近年では、文部科学省Flagship2020プロジェクトに理化学研究所客員研究員として参加され、特にスーパーコンピュータ「富岳」の構築において中核となる、A64FX CPUの実効演算性能向上とコンパイラに関する大変重要な研究と提言をされていました。
 学会においては情報処理学会フェロー、同学会CS領域委員長、計算機アーキテクチャ研究会主査を始め、数々の役職や国際会議での委員を歴任されました。中島浩先生は、常に先進的な考えを持ち、緻密かつ情熱的に議論を展開され、高性能計算研究者の規範となるような研究者でした。また、そのお人柄により、国内だけでなく海外においても多くの研究者仲間との親密な親交を持たれ、愛された人でもありました。
 中島浩先生が今日のHPCIコンソーシアムとコミュニティに残された功績はとてもこの場で言い尽くすことはできません。コロナ禍により長期間直接お会いできないまま、このようにお別れすることとなったことは、本当に悲しみに耐えません。中島浩先生が残された数々の財産を守り育むことは、残された我々の努めだと思います。HPCIコンソーシアムとしても、一層の発展と成果を目指し取り組んで参ります。
 HPCIコンソーシアムを代表し、ここに謹んで哀悼の意を表させて頂きます。

HPCIコンソーシアム第5代理事長
朴泰祐(筑波大学)