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HPCIソフトウェア賞の設立について

片桐孝洋

片桐 孝洋

名古屋大学 情報基盤センター 教授

2023年度HPCIソフトウェア賞の受賞者が、令和5年5月19日(金) に開催されたHPCIコンソーシアム令和5年度通常総会で表彰されました。HPCIソフトウェア賞を設立して初めてとなる受賞であり、普及部門賞として1団体(最優秀賞)、開発部門賞として1団体(最優秀賞)、1団体(優秀賞)、および3団体(奨励賞)の若手研究者が受賞されました。誠におめでとうございます。

本賞の設立は、計算科学分野における実用的なソフトウェア開発に貢献した若手研究者の研究活動を推進するため、2021年度からHPCIコンソーシアム理事会で受賞に関するタスクフォースを立ち上げ、賞の位置づけ、募集要項、審査体制などの検討を行い、2022年度に実施したものです。2021年度においては、HPCIコンソーシアムで初となる賞の設立ということで、賞の位置づけや審査基準を中心に多方面からの検討を行いました。その議論をもとに、2022年度に実際の公募を開始しました。その際、賞の選定を行う選定委員会を立ち上げ、異なる分野の選定委員により応募ソフトウェアの業績評価を行いました。選定委員の皆様に置かれましては選定業務に携わっていただき、この場を借りて感謝いたします。

一方で、受賞対象となるソフトウェアについて申し上げます。計算科学分野に限らず、多くの人が簡単に使えるソフトウェアは貴重なツールで人類の資産であり、また、研究を支える基盤ソフトウェアであるにもかかわらず、その開発者の貢献については論文成果になりにくいことから、研究業績として評価されない傾向があります。この現状では、ますます若手研究者が計算科学のソフトウェア基盤開発の研究をしなくなることが予想されます。その結果として、科学技術の進展を大きく阻害することになりかねません。この観点から、本賞の設立が現状の打破になるのであれば、望外の喜びです。

2022年度の賞の公募は初年度ということもあり、応募がどれくらい来るのか判断できず、公募数の心配がありました。しかしながら結果として、計算科学分野において実績のある多数のソフトウェアの開発に貢献した若手研究者からの推薦がありました。企画した理事会および選定委員会を代表いたしまして、感謝いたします。

2023年度以降の賞の公募におきましても、引き続き例年通りのスケジュールで公募を実施させて頂く予定です。若手研究者の皆様におかれましては、奮ってのご推薦をお待ちしております。

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